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窒化特性
 

1.変形・歪み

  2.耐摩耗性
  3.耐蝕性
  4.結合体
  5.表面硬度と深さ
  6.その他
作業工程
1.変形・歪の生じる恐れが少ない
窒化処理の注目すべき特長の一つは、歪曲がほとんど生じないことであります。これは窒化作用は500℃〜550℃において最も適切に行われます。窒化のための鋼のMS変態点を降下させることとなり、焼入組成のマルテンサイト変態が行われます。

その窒素含有のマルテンサイト組織は、炭素のみ含有のマルテンサイトよりも耐摩耗性および耐蝕性をもちます。また窒素は、鋼の高温度における結晶粒成長を抑制する作用があるので、中心部の結晶粒成長の恐れなく、これによっても窒化処理を施した鋼は「歪」を生じないことに役立ちます。

なお一般浸炭焼入においては、第一次焼入、第二次焼入等を行うため、歪みを生じ種々の方向に変形の起こることが多くありますが、窒化処理の場合は、ほとんどの素材を鋼種所定の調質を施した後、機械加工を行います。機械加工の状態により、鋼中に内部応力が生じた場合、すなわち加工応力の大きいものは、中仕上程度の中間工程で、内部応力を除去する焼鈍が必要となってきます。しかる後、焼鈍温度以下の温度で窒化処理が行われますので、加熱冷却に基づく膨張、収縮の変形や歪みが生じる心配はありません。しかし、窒化作用の間に均一な容積増加があり、その程度は窒化層の深さ×0.03〜0.04・程度であります。
 
2.耐摩耗性
窒化処理による硬度の上昇は必然的に窒化層の耐摩耗性を良好させますが、その上に、窒素を含有する窒化層は耐摩耗性に対し特に優れています。すなわち若干の加圧のもとに繰り返し摩擦される金属面は、疲労軟化により摩耗しますが、窒化層は浸炭層と比較すると、普通数倍ないし6〜10倍程度といわれています。窒化層は疲労軟化を阻止することにより、耐摩耗性および耐蝕性を付与します。

「窒化物」を作る元素等を含有しない炭素鋼、鋳鉄およびニッケルコバルトを含有する鋼種等は、表面の硬度はあまり得られないが、窒化処理を施さないものに比較して、前述の理由により硬度を生ずるものと同様、疲労強度を増し、耐摩耗性および耐蝕性を得ることができます。表面の耐疲労性、耐摩耗性、耐蝕性のみを目的とした窒化処理を通常軟窒化(SOFT-NITRIDING)と言います。
 
3.耐蝕性
耐蝕性は耐摩耗性と同様に強く、実際面において窒化層は特にアルカリ性油類、ガス燃焼生成物、食塩水、大気等の腐蝕には、非常に強い性質を有しています。

ただし、酸類(硫酸および塩酸水等)に対しては弱く炭酸塩の水、あるいは食塩水と空気の繰り返し作用に対しては、若干腐蝕を呈しますが、加熱蒸気に対しては、非常に耐蝕性がありますので以上の点を考慮して化学処理機械部品等の多方面に採用されています。
4.結合体
長く窒化作用を続けている場合、鋼の表面に窒化物と炭化物の皮膜ができることがあります。これを結合体といい、水素ぜい性を有します。炭素鋼の場合はこの結合体は、FeNとFe3Cとの混合物にして、軟皮膜となります。Cr、W、Mo、V等含有の合金鋼においては、これら元素個々の微粒の窒化物と炭化物の混合皮膜となり固くて脆いのですが、窒化後、研磨またはラッピングにより除去されますので、最良の硬度の部分を得ることができて、しかも本来の窒化効果ならびに表面硬度にはなんら影響ありません。

この結合体の成長は、炭素鋼および鋳鉄製の部品等の窒化にはかえって表面の滑走性をよくし、その耐摩耗性、耐蝕性に寄与しますので、結合体は窒化製品の使用目的により必ずしも除去することを要しません。
5.各種鋼の表面硬度と窒化深度
         《ガス窒化》          《ガス軟窒化》
6.その他
窒化処理を施した鋼は非常に抗張力、降伏点を増加し、屈曲疲労に対する耐久力を増大し、対疲労性を増しますが、衝撃・収縮率・伸びは低下します。
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